企業家に求められるマーケティング視点 7 時間価値は価格価値を上回る

2014年10月31日
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時間価値は価格価値を上回る

ビジネスの場面に限らず、時間は経営という視点からもヒト・モノ・カネと並ぶ経営資源であり、ビジネスを成功に導く要因にもなりうるものでもある。

トヨタの生産方式(かんばん方式)や、マクドナルド、吉野家の調理方式、アマゾンや楽天のネット通販の競争状況や成長要因は「時間」で説明することができる。

つまり、時間の価値を高める戦略やマーケティング活動が、企業や顧客の抱える問題を解決することができれば、そのビジネスを成功に導くことができるということである。

在庫を時間と捉えるならば、トヨタ自動車は、極力在庫を持たず、必要なものを、必要な量だけ、必要な時に納入させ「ジャストインタイム」で生産することで、ムダを排除し同時に多くの利益を生み出す生産方式を確立させた。

また、マクドナルドや吉野家のような外食産業は、売上を伸ばすには、客単価を引き上げるか、オーダー数を増やす方法しかないのだが、今まで90秒で商品を届けていたところを60秒に短縮できたなら、単純計算すると売上を1.5倍にすることが可能となる。

もしオペレーション上のコストが変わらないのであれば、注文を受けてから60秒~90秒で商品を製造する受注生産方式は、廃棄ロスを生まない販売を可能にするので、増えた売上はそのまま利益となる。
他にも、年会費を払って通販商品を翌日に受け取ることができるアマゾンプライムの会員数は100万人を超えているという事実もある。

このように、製品・サービスの価値を高めるためには、「価格」の設定以前に、「時間」に着目することが重要となる。具体的には、マーケティング・ライフサイクル全体を通じて、顧客の考える時間の価値を尊重する、またはその価値をどのように高めることができるかを顧客の立場で考えることである。

そのためには、企業は「どうすれば顧客が喜んでお金を払ってくれるような質の高い時間を作り、顧客にとって重要なではない活動の時間コストを削減することができているのか」という視点が欠かせないであろう。

特に、競合他社との差別化を計りと価格競争に巻き込まれないためには、顧客が自社の製品サービスに関わる時間(検討、購入、使用、処分)の流れの中で、どの部分を単なる取引ではなく、深く印象に残る時間に変えることができるかが分かれば無駄な価格競争に巻き込まれることはない。

顧客がそこからより大きな付加価値やメリットを感じ取ってくれるのであれば、自社の経営が競合よりも優位になり、高い利益を生み出すことが可能となるのである。

 

広島国際学院大学 情報文化学部 現代社会学科
准教授 竹元 雅彦

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