企業家に求められるマーケティング視点 3 異業種間競争は始まっている

2014年08月19日
Category :

異業種間競争は始まっている

今日の社会において、経営環境を取り巻く「市場」「制度」「競争」構造の変化が相互に作用することで、従来のビジネスの枠組みや方法が根本から革新が迫られている。

それゆえに、自らのビジネスの本質を見極め、常に誰が顧客なのか、顧客に提供する価値は何か(顧客は何に対して対価を支払っているのか)を見失うと、提供する製品・サービスは瞬く間にコモディティー化を起こし、儲けの構造そのものが崩壊してしまう可能性が高い。

例えば、「競合関係」という形で語られてきたこれまでの企業間競争は、基本的に同業種と呼ばれる「事業目的」と「コスト構造」が同じ企業間で争われてきた。

本来であれば、家電量販店ヤマダ電機の敵は、ビッグカメラやエディオンであるはずであるがが、家電製品に関するインターネット通販「アマゾン」の価格設定が波紋を広げたことを機に、今や業界をあげてネット書店のアマゾンとの競合関係にあるといわれている。

これまでの家電量販店間の戦いは、出店や業務提携、経営統合によってスケールメリットを高めることで家電メーカーへの価格交渉力を高め、より多くの利益を獲得することであった。

これまでの、仕入れて売るという単純な事業構造では、戦略や打つ手は結局同じで、相手の手の内も予想がつく。しかしながら、アマゾンが時に仕入れ値を下回ると見られる価格を打ち出してくるのは、アマゾンが家電製品で儲ける意思がない点にあるからであろう。

顧客が誰かを見極める

アマゾンが提供する「アマゾン フルフィルメント by Amazon(FBA)」は、ロングテールという言葉で示されているように、ネットというツールを使って他社の在庫を自社の品揃えに取り込むことを可能にした。単純にいえば、本来であれば、売れなかったものが自社の売上に計上できる仕組みといえるであろう。

約4万店の店舗を有する楽天市場の流通総額が約1兆2,000億円(2012年度)に対して、既に1兆円を超える規模に達していると言われるアマゾンの儲けの構造は、1000万人以上いると言われるプライム会員の会費と出店業者からの15%の販売手数料と配送代行手数料と在庫保管料であるともいわれている。

本業である書籍の売上比率は既に50%を切り、実質は高額所得者層の生活に焦点を当てた「ライフスタイルショップ」となっているのである。アマゾンにしてもコストコにしても、優良顧客が自ら会費を払い、その収入で店舗運営や物流費をまかなう構造となっている点が興味深い。

「われわれが現在知っていることは、10年後に知っていることの僅か2%に過ぎない。顧客行動を学ぶ目的は、顔の見えない平均的な顧客像ではなく、特定のお客様にとって理想となるサイトを作り上げること、つまり個別化を徹底することに他ならない。」というアマゾンCEOのジェフ・ベゾス氏の言葉から見えてくるのは顧客が誰かを見極めた時、ビジネスは途轍もないスピードで成長していくということであろう。

広島国際学院大学 情報文化学部 現代社会学科 准教授 竹元 雅彦

 東京のシェアオフィスはナレッジソサエティ