企業家に求められるマーケティング視点 4 顧客がビジネスを定義する

2014年09月02日
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顧客がビジネスを定義する

アマゾンは先述の通り、日本とは異なり米国では一般商品と同様に扱われる書籍を、実在庫を持たずに販売することを目指して作られたビジネスモデルである。

そして、その利用者が本を読む比較的所得の高い知的ビジネスマンであったことから、比較的所得の高いユーザー層を顧客として取り込むことに成功したことが成長要因でもある。

仕事や研究に必要な本が確実に揃う品揃えと送料無料のメリットがビジネスマンのための品揃え、そのファミリーの品揃えと拡大し、生活に必要なものがすべて揃うワンストップショッピングを目指し成長を遂げた。それを可能にしたのが、レコメンデーション機能である。

レコメンデ―ション機能

レコメンデーション機能とは、過去の購入履歴等から顧客一人一人の趣味や読書傾向を探り出し、それに合致すると思われる商品をメール、ホームページ上で重点的に顧客一人一人に推奨する機能である。

これがベゾスの言う「特定のお客様にとって理想となるサイトを作り上げること、つまり個別化を徹底すること」である。

買えば買うほど、そこで商品を検索すればするほど、その機能は高まり、タイムリーかつ的確な商品提案を実現してくれている。

通常何十年も前の本を取り揃えて、品揃えを充実させることを考える古本屋など存在しないであろう。ましてや、従来の仕入れと売価の差益を儲けとするビジネスからは、「1円」で売る本から利益を生み出すという発想は決して生まれないであろう。ネットがなければ「20-80の法則」は万能であり、「ロングテールの法則」など生まれなかったともいえるであろう。

アマゾンのロングテールでの儲けのカラクリは、¥ 257 (関東への配送料)にある。例えば、1円で出品していた本が1冊売れた時、Amazonへ支払う手数料は本の成約料の60円と販売価格の1円の15%の¥0.15で配送料¥257から¥60.15を引いた金額¥197.85が書店に振り込まれる。書店はこの¥197.85から送料を引いた金額が儲けとなる。

単純に考えれば手間だけがかかり儲けの少ない収益モデルであるが、アマゾンに出品することで今まで売れなかった商品に売れる可能性が生まれ、実際大型の書店では、一日に数十冊の本をアマゾンから受注しているといわれている。

アマゾンは自らが投資した情報インフラの上に競合となる書店の品揃えを加えて、名実ともに世界最大の書店を作りあげ、同時に競合他社の在庫も自らの在庫に取り込み、そこから本来入らない手数料収入を得ることに成功した。かつて、玩具問屋の在庫を取り込み、品揃えを充実させたトイザラスの方法があったが、アマゾンの商品は価格ドットコムがそうだったように、それを「情報の在庫」に変えたことが成長要因となったといえないであろうか。

広島国際学院大学 情報文化学部 現代社会学科 准教授 竹元 雅彦

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