起業時に必要となる開業届とは?メリット・デメリットと提出手順

2019年05月29日
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起業する際には、開業届の提出が必要です。しかし、開業届の作成方法や提出手順について不安を抱えている人も多いでしょう。

開業届は、提出することにより大きなメリットを受けられる場合があります。人によっては、開業届の他にも提出が必要となる書類があるため、開業届以外の書類についても事前に知っておくことが大切です。

今回は、【開業届のメリット・デメリット】【開業届作成の手順と手続き】について解説します。

1.起業したときに提出が必要となる「開業届」とは?

開業届・正式名称「個人事業の開廃業届出書」は、個人で事業を始めた際に、税務署へ提出する書類です。

個人事業主として開業した場合、税務署と各都道府県税事務所に税金を納めます。納税を行う際は、それぞれの税務当局に対し、個人事業主として開業することを報告するために、開業届を提出しなければなりません。

事業所得が発生した場合は、1ヶ月以内に管轄税務署へ開業届を提出することを法律で定められています。ただし、開廃業届出書や個人事業開始申告書が未提出だったとしても、罰せられることはありません。開業届を提出しなくても個人事業を始めることはできますが、提出することで得られるメリットもいくつかあるため、開業届を作成することがおすすめです。

1-1.開業届を提出するメリット・デメリット

開業届を提出するメリット・デメリットは、以下の通りです。

<開業届を提出するメリット>
  • 節税効果がある
  • 正式に個人事業主になれる
  • 青色申告を利用できる
  • 屋号を持てる
<開業届を提出するデメリット>
  • 失業手当がもらえない場合がある
  • 健康保険の扶養から外れる場合がある
  • 配偶者控除・扶養控除がなくなる

開業届を提出するうえで特に大きなメリットは、青色申告制度による節税効果が期待できることです。一方、開業届を提出することによって、配偶者控除が受けられなくなり、健康保険の支払い負担が増える場合があります。

ただし、事業・山林・不動産所得以外での青色申告は、認められていません。申告を行う際は、事前に「青色申告が適用されているかどうか」確認することが重要です。

2.開業届の作成から提出までの手順

開業届には、作成から提出まで、さまざまな手順を踏む必要があります。しかし、開業し初めのときは、何かと準備が必要となるため、忙しくなりがちです。開業届を税務署へスムーズに提出するためにも、早い時点での書類の入手方法や記入方法、提出方法までしっかりと把握しておきましょう。

ここでは、開業届の入手方法から提出までの手順について、詳しく紹介します。

2-1.①「国税庁のWebサイト」や「税務署」で開業届を入手する

開業届は、以下の2つの方法で入手できます。自分のニーズに合わせて、開業届を選びましょう。

  • 最寄りの税務署窓口で受け取る
  • 国税庁のwebサイトからダウンロードする

最寄りの税務署で開業届を受け取る際には、書き間違いなど失敗したときのために、控えとして1部多く受け取っておくことをおすすめします。

2-2.②必要事項を提出用紙に記入する

開業届を入手したら、次は開業届に必要事項を記入しましょう。記載漏れや書き方の間違いは、税務署の職員が指摘をしてくれますが、修正の時間や手間を省くためにも、下記の点について注意しながら記入してください。

税務地 自宅の住所・電話番号を記入します。
上記以外の住所地・事業所等 事務所、またはお店の住所・電話番号を記入します。
氏名・生年月日 氏名と生年月日を記入します。
個人番号 マイナンバーを記入します。
職業 開業する職業(事業内容)を記入します。複数ある場合は、枠に収まるように書きます。
屋号 会社やお店の名前を記入します。屋号は空欄でも問題ありません。
届出の区分 開業の場合は「開業」に〇をつけます。
所得の種類 「事業所得」に〇をつけます。不動壇賃貸業メインの場合は、不動産所得を選択しましょう。
開業・廃業等日 開業・廃業日を記入します。
開業・廃業に伴う届出書の提出の有無 青色申告承認申請書を提出する場合は、「有」に〇をつけます。青色申告は手間がかかる反面、節税効果が高いため、「青色申告承認申請書」または、「青色申告の取りやめ届出書」の提出をおすすめします。
輸出業や多額の初期投資が必要となる場合は、消費税の還付を受けることもできるため、「課税事業者選択届出書」または、「事業廃止届出書」も一緒に提出すると良いでしょう。
事業の概要 事業の内容を具体的に記入します。

開業届には、多くの項目を記入する必要があるため、記入方法について迷ってしまう人も少なくありません。開業届の記入方法に迷った際は、開業届を簡単に作成できるサイトや確定申告ソフトを利用することで、スムーズに記入を進められます。

2-3.③税務署に直接提出または郵送する

開業届の必要事項の記入が完了したら、税務署窓口に直接提出または、郵送のどちらかで開業届を提出しましょう。

提出書類は、2部作成しておくことがおすすめです。後日、再度開業届が必要となる場合があるため、どちらの方法で提出する場合でも、開業届を提出する際は、1部は控えとして持っておくと良いでしょう。

3.開業届と一緒に提出する3つの書類について

基本的には、開業届の提出だけで問題ありませんが、人によってはその他の書類も必要となる場合があります。また、開業届と一緒に、3つの申請書類を提出することによって、さまざまなメリットを得られる場合もあるため、事前に必要となる書類や、書類の提出期限についても知っておくことが大切です。

ここからは、開業届と一緒に提出する3つの書類について、具体的に紹介します。事業の大きさによっても必要な書類は変化するため、提出すべきか否かを確認しましょう。

3-1.青色申告承認申請書

開業届と一緒に「青色申告承認申請書」を提出することで、青色申告を利用することが可能です。青色申告は、最大65万円の青色申告特別控除が適用されるため、大きな節税効果が得られます。家族が従業員である場合は、青色事業専従者給与に関する届出書の提出をすることで、家族への給料を経費として相殺できる点も、青色申告承認申請書を提出するメリットです。

青色申告申請書を提出する際には、以下の期限までに提出を完了している必要があります。

  • ①1月15日までに事業を開始した場合は、3月15日までに提出
  • ②1月16日以降に事業を開始した場合は、開業日から2ヶ月以内

青色申告申請書の提出先は、開業届と同じく税務署です。

3-2.源泉所得税納期の特例の承認に関する申請書

従業員を雇う場合は、「源泉所得税納期の特例の承認に関する申請書」を提出しましょう。

従業員の給料から源泉徴収した所得税の納期は、基本的に源泉徴収した翌月の10日です。しかし、源泉所得税納期の特例の承認に関する申請書を提出することで、半年ごとのまとめ払いに変更することができます。まとめ払いに変更するためには、従業員10人未満から源泉徴収を行っている納税義務者であることが条件です。

3-3.給与支払事務所などの開設届出書

「給与支払事務所などの開設届出書」は、正式名称を「給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書」といいいます。この、「給与支払事務所などの開設届出書」は、給料を支払う事務所を開設したことを税務署へ知らせるために提出します。

ただし、個人事業を開設している人で、開業届をすでに税務署に提出している場合は、給与支払事務所などの開設届出書を提出する必要はありません。

まとめ

起業時に必要となる開業届は、提出しなくても罰せられることはありませんが、青色申告者としてのメリットを受けるためにも、開業届を提出しておくことがおすすめです。開業届は、提出時期によって青色申告が適用される時期に差ができてしまうため、早めに提出しておくことで、青色申告書の提出も遅れずに済みます。

開業届を作成する際は、事前に必要となる書類や提出期限をしっかりと確認して、スムーズに提出を完了させましょう。