
「転売ビジネスって違法?」「転売ビジネスをやりたいけれど注意点はある?」とお悩みではないですか。
「転売は違法」と思っている方は非常に多いですが、実は転売自体は違法ではありません。
しかし、転売の実態によっては違法となるケースがあるのも事実です。違法になるケースを知らずに転売をしてしまうと、取り返しが付かないことになってしまう恐れもあります。
また2021年、デジタルプラットフォームに纏わる法律「デジプラ法」が制定されました。デジタルプラットフォームは転売に必須のツールであるため、正しい理解が必須です。
そこで当記事では、転売ビジネスが違法になるケースや罰則、安全に転売をするために必要な点等を解説しています。転売を行う際は正しい知識を身に付けて、安全に取引をできるようにしましょう。
目次
そもそも「転売」とは?
「転売」とは「どこかから買い取った物を、他の人に売り渡すこと」を指します。例えば「リサイクルショップで安価に商品を購入し、メルカリやヤフーオークションを用いて高値で売却する」等です。
現在はネットショップやフリマアプリ等のデジタルプラットフォームが充実していることから、出品・購入を行いやすく、注目を浴びる取引となっています。
転売がネガティブなイメージを持たれる理由とは?
注目を浴びている転売ですが、実際は多くの方がネガティブなイメージを持っています。その理由の1つが「本当に商品を欲しい人が適正な価格で商品を購入できない」ためです。
具体例を挙げると「チケット転売」が挙げられます。アーティストのライブチケットを参加する意思なく申し込み、定価の何倍もの価格で転売する事例が度々発生しました。
その結果、本当にライブに参加したい方が当選せず、非常に高額な価格で転売されたチケットを購入する自体に繋がりました。このような事例があり、現在はチケットの転売について法規制が定められています。
類似の事例も度々メディアに取り上げられたことで「転売は悪質な行為である」というイメージが定着したと想像できます。
転売は違法?逮捕される可能性はある?
マイナスのイメージを持たれやすい転売ですが、実は転売自体は違法ではありませんし、転売そのもので逮捕されることもありません。
意外な方も多いでしょうが、転売の根本となる「安く仕入れて高く売却する」というビジネスモデルは、多くの業界で行われていることであるためです。
しかし、転売する商品や転売の実態によっては違法になるケースも存在します。実際に違法になる転売をして逮捕された事例も存在するため注意が必要です。
転売が違法になるケースとは?
上述した通り、転売自体が違法になることはありません。しかし、転売の商品や実態によっては違法になることがあるため注意が必要です。
ここでは、転売が違法になるケースを解説します。
古物商営業法違反に該当する場合
「古物商営業法違反」に該当する場合、転売が違法になります。
「古物商」とは、中古品や新古品などの「古物」を売買する事業を指します。そして、古物商を営むには各都道府県から、古物商許可を取得する必要があるのです。
転売であっても、中古品や新古品を取り扱っていて事業と判断される場合、古物商に該当します。つまり、古物商の許可を得る必要があるということです。
古物商の許可を得るには、許可申請以外にも、古物商を営む営業所が必要となります。古物商営業法に違反すると、3年以下の懲役または100万円以下の罰金、もしくはその両方を課される可能性があるため、自身の転売は古物商に該当するか否かを必ず確認しましょう。
なお、新品の商品や、自分のために購入した古物、無料で引き取った古物等を売却する際は古物商には該当しません。この場合は古物商許可を取らずに売買ができる点に留意しましょう。
チケット不正転売禁止法違反に該当する場合
上記でも触れた通り、ライブやスポーツ等のチケットを不正に転売する行為、もしくは不正転売を目的にして購入する行為は違法となります。チケット不正転売防止法の対象となるのは、業として、継続的に取引を行う場合に限ります。
チケット不正転売禁止法は、ファンや興行主を保護し文化やスポーツを振興する目的で2019年に施行されました。
チケット不正転売禁止法に違反すると、1年以下の懲役または100万円以下の罰金、もしくはその両方を課されます。
しかし中には「急に予定が悪くなって、ライブに行けなくなった」という場合もあるでしょう。そのような場合は「公式リセール」を活用しましょう。
公式リセールとは、急にライブ等に行けなくなった場合において、そのチケットの購入を希望する方に対して、定価で再販できるサービスを指します。
公式リセールでの売却ならば、適法に不要なチケットの売却が可能となります。
なお、転売されたチケットを購入することは違法ではありません。しかし、購入することで違法な転売屋を助長する形となるため、高額に転売されたチケットを購入するのは避けましょう。
詐欺罪に該当する場合
当然ですが、転売が詐欺罪に該当する場合は、違法行為となります。具体的には「転売目的を隠して商品を購入した場合」等が挙げられます。
実際に、コンサートの電子チケットを転売目的で取得した人が、有罪と判決されたケースが2017年に発生しました。懲役2年6ヶ月、執行猶予4年という判決が下された例です。
詐欺罪として有罪になると、10年以下の懲役という重い罰則を課されます。
販売行為が規制されている商品を販売した場合
販売行為が規制されている商品を許可なく販売した場合も、転売が違法となります。
具体的には「酒類」や「タバコ」「医薬品」等が挙げられ、それぞれ「酒税法違反」「たばこ事業法違反」「薬機法違反」に該当します。
これらはいずれも、販売するための許可を得る必要がある商品です。
特に薬機法違反には注意が必要です。転売において、化粧品は人気の商品の1つですが、海外から輸入したものを販売すると薬機法違反となる恐れがあります。
また、酒税法違反となるのは、継続して種類を出品・販売するケースに限られます。反対に言えば、自身の飲用目的で購入した商品や、他者からもらった商品を反版する分には違法とはなりません。
このように、無許可での販売が禁止されている商品は数多くあり、同じ商品でも実態によって適法か違法かが変わる場合があります。そのため、自分が転売する商品は許可なく販売して良い商品かを必ず確認しましょう。
迷惑防止条例違反に該当する場合
転売が迷惑防止条例違反になる場合もあります。
具体的な規則は各都道府県によっても異なりますが、チケットの転売等が該当します。実際に、2017年にライブコンサートのチケットを転売目的で大量購入した男性が、東京都迷惑防止条例違反の疑いで逮捕された事例があります。
そのため、自分が居住している都道府県の条例を確認することも必須と言えます。
なお、上記したチケット不正転売禁止法が制定されたことで、迷惑防止条例で逮捕されるよりも、チケット不正転売禁止法で逮捕される可能性の方が高まったと言えるでしょう。
違法でなくとも、規約違反に該当する可能性がある
また、転売が違法でなくても、使用するデジタルプラットフォームによっては規約違反になる可能性があります。
一例を挙げると、無在庫販売での転売が挙げられます。Amazonやヤフオク、メルカリ等では手元にない商品の出品が禁止されています。
規約違反に該当すると、出品取消しや、アカウント削除に繋がるリスクがあるため注意しましょう。
「デジプラ法」成立によって悪質業者の規制が進んだ
近年はデジタルプラットフォームの発達によって、誰もが気軽に出品・購入ができるようになりました。しかしその一方で、数々の消費者被害が発生しています。具体的には「購入した商品に欠陥があった」「販売者と音信不通になった」等です。
そこで、消費者保護を目的として2021年に「デジプラ法(取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益の保護に関する法律)」が制定されました。
大きく影響があるのは、デジタルプラットフォームの提供者ですが、結果として悪質な転売屋の規制が強まる内容となっています。
転売をする方の多くに必須の知識となっているため、デジプラ法やそれにまつわる知識は必ず習得しましょう。
デジプラ法や影響する法改正については、以下の記事で詳しく解説しているため是非参考にしてください。
参考:消費者保護につながる「デジプラ法」とは?内容や対象者、生じる変化を分かりやすく解説
安全に転売をするために行うべきこと
上述した通り、転売自体が違法とはなりませんが、実態によっては違法になる場合があります。また、違法とはならなくても注意するべき点がいくつか存在します。
そこでここでは、安全に転売をするために行うべきことを5点解説します。
古物商に該当するかを確認する
古物商営業法に接触しないためにも、自身の転売が古物商に該当しているか否かを確認しましょう。具体的には、以下のいずれかに該当する行為は古物商に該当します。
・古物を買い取って販売する
・古物を買い取って付加価値を付けて販売する
・古物の委託販売を行う
・古物を別の商品と交換する
・古物を買い取って有償で貸し出しをする
なお、これらはインターネット上で取引を行う場合でもあっても同様です。
古物商に該当する場合は、営業所を備えて古物商許可を受ける必要があります。
そして、インターネットで古物商を行う際に問題となるのが「営業所」です。インターネット上での古物商は特段の営業所を備えなくてもできると考える方がいますが、実際は自宅で古物商を行うのは難しいケースが多いです。
古物商の営業所については以下の記事で詳しく解説しているため、是非参考にしてください。
参考:バーチャルオフィスで古物商申請は可能?取得の可否や対策を徹底解説
事業形態や販売商品が法令違反をしていないかを再確認
安全に転売ビジネスを行うためにも、事業形態や販売商品が法令違反をしていないかを再確認しましょう。
具体的には「仕入や販売方法は詐欺や条例違反に該当しないか」「商品の販売には特定の資格は不要であるか」等です。
もし販売に資格が必要である場合は、資格を取得するか、該当する商品の販売を取りやめる必要があります。
利用規約を確認し、適切なプラットフォームを選択する
転売が法令違反とならない場合であっても、利用するプラットフォームの規約違反に該当する可能性があります。
規約違反に該当すると、出品取消しやアカウントの停止に繋がる恐れがあるため、利用規約の確認は必ず行いましょう。
転売の利益は確定申告の対象となる
また、転売で発生した利益は、本業・副業に関わらず確定申告の対象となる点に注意しましょう。
一定の利益が出ているにも関わらず、申告手続きを行わないと、税務署からの指摘が入り、罰則が課される恐れもあります。
確定申告が必要な金額や手続き方法は以下の記事で解説しているため、是非参考にしてください。
参考:個人事業主に必須な確定申告とは?手続きの流れややり方を初めてでも分かりやすく解説
参考:会社員の副業は確定申告が必要?申告が不要な条件や手続きの流れを分かりやすく解説
迷惑行為に繋がる転売は避ける
また、違法でなくても迷惑行為に繋がる転売は避けるようにしましょう。転売で迷惑をかけることで、モラル的に良くないのはもちろん、転売のイメージが更に悪化する可能性があるためです。
迷惑行為に繋がらなくても利益が出る商品は数多くあるため、誰にも迷惑をかけない形で転売を行いましょう。
まとめ
当記事では、転売が違法になるケースや、安全に転売を行うために注意するべき点等を解説しました。
世間からネガティブなイメージを持たれている転売ですが、転売自体が違法となることはありません。しかし、以下の一定の場合に該当する場合は違法となるため注意しましょう。
・古物商営業法違反に該当する場合
・チケット不正転売禁止法違反に該当する場合
・詐欺罪に該当する場合
・販売行為が規制されている商品を販売した場合
・迷惑防止条例違反に該当する場合
当然合法と思っている取引であっても、見落としている可能性もあるため確認は必須です。
また「デジプラ法」の制定によって、消費者保護が進んだ点も留意する必要があります。主に影響する人はデジタルプラットフォームの提供者ですが、結果として転売屋の規制に繋がるため、こちらも必ず確認しましょう。
転売ビジネスは「安く仕入れて高く売る」というビジネスの基本を取り入れているため、非常に有意義な経験になります。そのため、法令やマナーを守って安全に転売を行いましょう。
この記事の執筆者

ナレッジソサエティ編集部
ナレッジソサエティ編集部
2010年設立の東京都千代田区九段南にある起業家向けバーチャルオフィス「ナレッジソサエティ」です。2010年からバーチャルオフィス・シェアオフィス・レンタルオフィスの専業業者として運営を行っております。バーチャルオフィスのこと、起業家に役立つ情報を配信しています。「こういう情報が知りたい」といったリクエストがあれば編集部までご連絡ください。
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