法人とは?個人事業主との違いとメリット・デメリットを徹底解説

2019年05月29日
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起業する際には、事業形態にはさまざまな種類があります。そのため、自分の事業にはどのような事業形態が適しているのか悩む人も多いでしょう。

事業形態は大きく分けると、「法人」と「個人事業主」の2つがあります。さらに、法人にはさらに細かい種類があり、事業を成功させるためには、事業形態の内容について正しい知識を持っておくことが大切です。

今回は、「法人の種類」と、「法人と個人事業主の違い」について紹介します。起業を検討している人は、ぜひ当記事を参考に、自分の目指している事業に合った事業形態を見つけてください。

1.起業の際に確認しておきたい法人とは?

法人とは、「法律によって人と同じ権利や義務を認められた組織」のことです。
法人には私法人と公法人に分類され、さらに私法人には、下記の2種類があります。

  • 会社をはじめとする営利目的の組織
  • NPOをはじめとする非営利目的の組織

民法第33条によると、法人は民法その他の法律によらなければ、設立することができません。また、民法第34条では、法人は法令の規定に従い、定款(個々の私法人の組織・活動について定めた根本規則)その他の基本約款で定められた目的の範囲内において権利を持ち、義務を負うことが、定められています。

2.法人には大きく分けて3つの種類がある!

法人は大きく分けると、「公法人」「私法人(営利法人)」「私法人(非営利法人)」の3種類があり、さらに細かく分けると12種類の組織が存在します。しかし、法人の名前を耳にしたことがあっても、法人の種類による違いまで詳しく知っている人は多くはありません。

ここからは、法人の種類と、法人の種類別の内容を具体的に紹介します。

2-1.公法人

公法人とは、公の業務を担う法人のことです。公法人は、以下の4種類に分類されます。

〇地方公共団体
地方公共団体とは、地域の統治活動を担う法人です。地方自治体や地方政府と呼ばれることもあります。

〇独立行政法人
独立行政法人とは、公益性が高いものの、国が主体となって行う必要がない事務や事業を担う法人です。

〇特殊法人
特殊法人とは、「日本放送協会(NHK)」や「日本年金機構」など、具体的な法令に基づいて設立された法人の中でも、独立行政法人・認可法人・特別民間法人に属さない法人です。

〇公庫
公庫とは、公共の目的で中小企業や、農業従事者などへの融資を行う政府の金融機関です。現在はほとんど民営化されており、公法人としての公庫はほとんど残っていません。

公法人の中でも、地方公共団体と独立行政法人はさらに細かく分類され、「普通地方公共団体」「特別地方公共団体」「中期目標管理法人」「国立研究開発法人」「行政執行法人」があります。

2-2.私法人(営利法人)

私法人(営利法人)とは、国家や公共団体の権力を受けない私法人の中でも、経済的利益を得ることを目的とした法人です。営利活動を目的とした私法人は、以下の3種類に分類されます。

〇株式会社
株式会社とは、経営者が出資者に株式を発行して資金調達を行い、その資本金を元手にビジネスを行う会社です。会社を所有する人は出資者(株主)であり、実際に事業を行う人は経営者となります。会社の所有者と経営者が分離していることが株式会社の特徴です。

〇合同会社
合同会社とは、株式会社とは対照的に経営者と出資者が同一である会社を指します。株式会社とは異なり、決算の公表義務がありません。証券取引所で証券や商品の取引を行うことはできませんが、社員全員の合意によって自由に利益を配分できます。

〇各士業に関わる法人
弁護士や税理士など、士業と呼ばれる職種の人たちが営利目的の活動を行うための法人です。「弁護士法人」「税理士法人」「司法書士法人」「行政書士法人」が挙げられます。

2-3.私法人(非営利法人)

私法人(非営利法人)とは、私法人の中でも経済的利益を得ることを目的としない法人です。営利活動を目的としない私法人は、以下の5種類に分類されます。

〇NPO法人
NPO法人とは、利益を追求することを目的とせず、社会貢献活動や慈善活動など、社会的な活動を行う民間団体です。例として、「国境なき医師団」が挙げられます。

〇一般社団法人
一般社団法人とは、一定の目的の元に人々が集まってできた団体です。一般社団法人は、必ずしも公益目的の活動を行いません。有名な一般社団法人としては、「日本音楽著作権協会(JASRAC)」が挙げられます。

〇社会福祉法人
社会福祉法人とは、社会福祉事業などの公益事業を担う法人です。「有料介護老人ホーム」などの福祉サービスが挙げられますが、駐車場経営も社会福祉法人として認められています。

〇信用金庫
信用金庫とは、特定の地域に住む人々が金銭的に助け合い、地域社会の発展に貢献することを目的として設立された金融機関です。中小企業や個人の金融機関であるため、中小企業や個人に融資することはできません。

〇商工会
商工会とは、特定の地域の事業者が会員となり、地域内の経済を発展させるためにさまざまな社会活動を行う団体です。地域内の商工業者の相談を受けたり、経営についての指導を行ったりします。

3.「法人」と「個人事業主」の違いについて

開業を行う際には、法人と個人事業主のどちらかの事業形態を選択する必要があります。しかし、法人と個人事業主には、「開業資金」「開業方法」「税金」について違いがあるため、事前に詳細を確認しておくことが重要です。

個人事業主とは、会社組織に属することなく、個人で事業を行う人のことです。例として、自営業が挙げられます。

下記は、法人と個人事業主の具体的な違いをまとめた表です。

法人
開業資金 6~30万円
開業方法 公証役場での認証を受けた「定款」と、登記申請書・就任承諾書・払込証明書を法務局に提出する
税金
  • 法人税を法人申告する必要がある
  • 課税額は、1年間の収入から、経費と給与を差し引いた金額
  • 決算書の作成は、税理士に依頼する
個人事業主
開業資金 0円
開業方法 個人事業の「開業・廃業等届出書」を税務署に提出する
税金
  • 所得税を青色申告、または白色申告で確定申告する必要がある
  • 課税額は、1年間の収入から、経費を差し引いた金額
  • 自分で確定申告することが可能

上記の表から読み取れるように、個人事業主は開業資金が無くても、開業することができます。ただし、それぞれにメリット・デメリットがあるため、事業形態を選ぶ際は、どちらがい自分の目指す事業に合っているのか見極めることが大切です。

3-1.法人として開業する場合のメリット・デメリット

法人として開業する場合は、高い社会的信用を得られることがメリットです。一方、個人事業主に比べて、事業が赤字でも法人税などの税金を納める必要がある点が、デメリットとして挙げられます。

法人として開業する場合のメリット・デメリット
メリット デメリット
  • 社会的信用度が高い
  • 一定以上の売上があれば、個人事業主よりも税金面での負担が低くなる
  • 経営者の給与や保険料は、経費として認められる
  • 開業時に6~30万円ほどのコストがかかる上、準備にも多大な時間を要する
  • 廃業に高いコストを要する

法人は、社会的信用が高いことから、投資家からの投資や顧客を獲得しやすかったり、金融機関から高額な融資を受けやすかったりするため、事業をどんどん拡大していくことができる点が、法人の魅力です。

3-2.個人事業主として開業する場合のメリット・デメリット

個人事業主として開業する場合は、低コストで開業・廃業できる点がメリットです。一方、法人とは逆に、社会的信用度が低いことが、デメリットとして挙げられます。社会的信用度が低いために顧客を獲得しにくく、銀行融資を受けることが難しくなるケースも少なくはありません。

個人事業主として開業する場合のメリット・デメリット
メリット デメリット
  • 低コストで開業・廃業できる
  • 確定申告より簡単に法人申告ができる
  • 赤字の場合には、所得税を納める必要がない
  • 社会的信用度が低い
  • 累進課税制のため、一定以上の所得を得るようになると、法人よりも税金面の負担が大きくなる
  • 事業主自身の給与や保険料を経費として計上できない

個人事業主は、「開業・廃業等届出書」を税務署に提出するだけで開業・廃業できるため、何かとコストのかから法人とは異なり、低コストで手軽に事業を起こすことができます。

4.開業するなら法人と個人事業主のどちらがおすすめ?

法人と個人事業主のどちらの事業形態で開業すべきかは、自身が思い描く事業の形によって異なります。
大きな事業を展開したいと考えているのであれば、社会的信用度が高く税金面の負担の少ない法人として、会社設立を行いましょう。まずはお試しという形で開業したい場合には、低コストで開業できる個人事業主として、事業を起こすことをおすすめします。

法人と個人事業主のどちらが自分の事業に合っているか、自分で判断することが難しい場合は、開業支援会社やコンサルティング会社に相談しましょう。

まとめ

開業を行う際には、法人の種類や内容について、事前に知っておくことが重要です。また、開業時には、法人と個人事業主のどちらかの事業形態を選択する必要があります。法人と個人事業主にもさまざまな違いがあるため、自分の目指す事業に合わせた選択を行うことが大切です。

事業を成功させるためにも、法人として開業する場合や、個人事業主として開業する場合のメリット・デメリットを知った上で、自分の目指す事業に合った事業形態で開業の準備を進めましょう。