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学生起業をして成功した経営者たち(堀江 裕介編)

[投稿日]2022/02/13

学生起業をして成功した経営者たち(堀江 裕介編)

学生起業をしてみたいという人は数多くいます。しかしながら実際に学生起業を行い、大きな成功を収める、というイメージが湧きにくいことも事実です。そこで、今現在、日本国内や世界で活躍している経営者の中で、学生時代に事業を起こした人物についてピックアップし、どのようなルートで起業に至ったのか、その生い立ちなどに迫っていきます。

今回は、レシピ動画サービス「クラシル」を運営するdelyの創業者の堀江裕介氏について取り上げたいと思います。学生、特に大学生の皆さんは一度は耳にしたとがあるのではないでしょうか。短い動画で料理のレシピを紹介するクラシルは、どのような発想から生まれたサービスだったのしょうか。

クラシルってどんなサービス?

1分の動画で料理のレシピ、調理手順や方法がわかるアプリ、それがクラシルです。80億人に1日3回の幸せを届けるというミッションを持っています。「日常的に作れて、誰かのために、さりげなくおしゃれでおいしい料理」をテーマに、毎日の献立から、特別な日に作れるスイーツまで、さまざまなレシピを届けているサービスです。

その手軽さや豊富なレシピの種類から今現在のアクティブユーザーは20代から30代を中心に多く利用されており、料理レシピ動画サービスの中で月間ユニークユーザー数1位を記録しています。料理レシピ動画サービスの中では後発ながら、様々な工夫を行い今現在のサービスへとつながっています。

クラシル専属のシェフが更新するレシピ動画の中には、冷蔵庫の残り物で作れる!と銘打ったものや、つい見てみたくなるようなレシピが数多く並んでいます。またアプリのUIもとても使いやすく、映像でレシピを紹介しているのでイメージも付きやすいサービスです。

起業に至った経緯

株式会社delyの代表である堀江氏が創業したのは、慶應義塾大学環境情報学部に在学中の2014年でした。起業しようと思ったきっかけとしてとしては、東日本大震災の際にソフトバンクの孫正義氏が100億円の寄付を行ったという話を聞いたところからだそうです。

いつしか孫正義氏のように社会に大きな影響を与える存在になりたい、と思ったことから起業を志すようになりました。

自分が社会に対して影響を与えられる存在になっていたら、多くの人を救えると考えていたそうです。通常の授業を受講するよりも、企業でインターンを積極的に行ったり、起業家やベンチャーキャピタルの方と多く関わる活動を行っていました。クラシルの事業が成功した後に、大学は中退をしたそうです。

そのような活動をしているときに、メルカリやグノシーに投資をしている投資家、松山大河氏と話す機会を得て自らのアイデアを話したところ、「今すぐにでも起業をすればいいのに。」とアドバイスを受け実際に起業をすることになります。

しかし、当初行っていた事業は今現在のクラシルとは少し違ったものでした。

最初の事業と失敗

堀江氏が起業して最初に取り組んだ事業は、今で言うフードデリバリー事業のようなものでした。

当時、日本はアメリカと比べてC to Cの物流がそこまで発達していませんでした。少子高齢化が進み労働人口は減る一方、eコマース等によって需要は高まるばかり。ここに目をつけた堀江氏は、今で言う「UberEats」のようなサービスを始めたそうです。食品の配達で顧客を抱えられれば、他の物流にも活かすことが出来ると考え、5000万円の資金調達を行ったそうです。

しかしながら、その当時にはサービスが受け入れられず、一気に窮地においこまれる事になります。務めていた社員は全員辞めてしまい、様々な事業に、試行錯誤で取り組むもどれも失敗ばかり。そんな中で始めたサービスがクラシルでした。

クラシルの誕生

会社の事業の失敗から、「その場しのぎ」の一つとして生まれたクラシル。食、ライフスタイル、美容、ペットなどの女性向けキュレーションメディアとして立ち上げると、2年目には黒字運営にすることができたそうです。そんな中、黒字化は達成したものの成長に疑問を持っていた共同創業者のエンジニアに、3ヶ月以内に事態が好転しない限り会社を辞める、と言われる事がありました。

会社が存続の危機にたたされている中、堀江氏は動画市場が急成長していることを耳にし、動画に何を掛け合わせたらいいんだろう、と考えた結果、「料理の市場」を狙うことに決めました。

料理市場は、それまでも数多くの大企業がトライしている市場でもあります。その中で誰も絶対王者である「クックパッド」に勝つことができていないと気づいたそうです。

クックパッドに立ち向かうためにはただ同じことをやっていては到底勝つことはできない、そこで動画と掛け合わせることで突出することを狙いました。

社内に動画を撮影する人、編集する人が居なかったため、始めのうちは堀江氏自らが動画を制作していました。最初のデモ動画が完成し、社員に見せたところ反応は上々。3ヶ月以内に好転しなければ会社を辞めると言った共同創業者も、この雰囲気を見て会社に残ることに決めたそうです。

クラシルを料理動画サービスに

ここからの堀江氏の行動は凄まじく早く、一気に動画×料理へとクラシルをシフトさせていきます。

一気に料理を作るシェフを雇い、一日で数十本もの料理動画を制作し始めます。そこからは今私達がよく知っているクラシルの形になりました。2017年の8月にはレシピ動画数で世界一のサービスへとなりました。これまでに約40億円の資金を調達しており、Zホールディングス傘下となった現在でも、株式上場へ向けて成長を続けています。

孫正義氏にあこがれて起業をした堀江氏、今ではその孫正義氏の関連企業にまで成長させたその手腕はお見事ですね。

クラシルが料理レシピ動画サービスへとシフトし、多額の資金調達を行った後、広告料に多額の資金を投じました。競合他社のサービスが、GoogleやFacebookへと動画を掲載する分散型メディアとして大きな注目を集めている中、クラシルに関してはその形は目指さず、自社のサービスをメディアとして成長させる戦略を取りました。

結果として、現在では多くの競合他社も自社サービスもアプリを作成し、分散型とは逆行しています。他社が分散型メディアへと投資をしている間に、クラシルは自社アプリに注力しユーザーを獲得していたため、圧倒的に先行者有利の状況を獲得していました。

堀江氏が、このように分散型でなく自社のメディアを成長させることに注力した要因として、FacebookやGoogleのアルゴリズムに大きく左右され、自社でコントロールすることができないという点を挙げています。自社で管理するメディアとは違い、管理しているFacebookやGoogleによって再生回数や露出度が左右されてしまう点が問題であると述べています。

一見とてもうまく行っていたが、いきなりFacebookのアルゴリズム変更により一気に露出がなくなってしまった企業があった。クラシルというメディアを運営する以上は、自分たちでアルゴリズムをコントロールしなければならないと語っています。

堀江氏が掲げるビジョン

堀江氏は兼ねてから20代、30代、40代でのビジョンを掲げています。20代のうちに1000億企業にする、ということもそのプロセスのうちの一つです。長期的な目標を掲げ、そのために今何をするのかが重要であると語っています。

近い将来、クラシルを世界規模へと拡大させる野望も持っています。料理レシピ動画の制作に関して、世界でもトップクラスの技術と経験を持ち合わせている。また海外の料理レシピ動画は、日常に寄り添うような内容のものよりも、SNS映えを意識しているものが多く、その点でもクラシルが勝てる要素があるとコメントしています。世界的にも注目されている日本食、そしてクラシルの日頃の料理に活用できるレシピを発信する形式のメディアであれば、世界でも十分に規模を拡大させていくことができる要素はあると予測しているようです。

2020年には女子向けメディアである「TRILL」と合併を果たしました。この合併により料理のジャンルだけではなく、幅広いメディア運営にも関わることになります。TRILLは2014年8月に設立された女性向けメディアです。2019年には女性向けメディアとして国内ナンバーワンのメディアへと成長しました。

月間利用者数が2,000万を超える巨大メディアであり、ファッション・恋愛・結婚・お金・ライフスタイルなどの記事の中から、豊富なコンテンツを提供しているメディアです。特徴として他のメディアよりもターゲット層が広く、20代から60代以上の女性までに役立つ情報を発信しているメディアです。その他にも人気モデルとのタイアップ記事や、「診断」のジャンルなど人気の記事が数多く配信されています。

 

まとめ

今回は、クラシルを運営する株式会社dely創業者、堀江裕介氏について取り上げました。自粛生活などによって家で料理をすることが増えた昨今において、クラシルのようなレシピを提案してくれるサービスは更に活用されるようになりました。私自身も、最近アプリを検索する際に利用しており、とても便利でこれから自粛が緩和されたとしても、使い続けていきたいサービスだなと感じました。

これほどまでに大きくなったdelyですが、ここまでの成長にはいくつも試練が有り、ギリギリの中からクラシルというサービスが生まれたというのはとても意外でした。しかしながら、崖っぷちの状態でも諦めず、どこにチャンスが有るのかを探し続けることは非常に重要ですね。将来的には株式上場、海外進出を目指すdely。80億人に1日3回の幸せを届けるというミッションの実現に向けて、これからも成長し続けるクラシルには目が離せませんね。

この記事の執筆者

片島聖矢

片島聖矢

ELPIS Inc, 代表

日本大学芸術学部写真学科在学中の片島聖矢と申します。

高校生時代からマネジメントやデザインなど、様々な分野に興味を持ち、制作活動などを行ってきました。

高校生時代には、広島県主催の広島創生イノベーションスクールに参加し、リーダーとしてマネジメントも経験させていただきました。そこから現在は起業し、デザイン、写真撮影、動画撮影・編集など幅広くクリエイティブな事をさせていただいております。

若さを活かし、現役大学生ならではの視点で情報をお届けしていきたいと思います。よろしくお願いいたします。

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