
マーケティングを学ぶときに必ず出てくるのが4Pです。ところがその対となる4Cは意外と知られていません。しかし、4Pはもちろん、4Cのフレームワーク(手法)もとても重要です。特に近年のマーケティングにおいて、4Cは欠かすことのできない概念です。
4C、4Pそれぞれのフレームワークと、両方を組み合わせたマーケティングについて説明します。
目次
4C分析のフレームワークとは
4C分析とは1993年にロバート・ロータボーンが提唱した「消費者側から見た」考え方です。
「Customer Value(顧客にとっての価値)」
「Cost to the Customer(顧客の負担)」
「Convenience(顧客にとっての購買利便性)」
「Communication(顧客へのコミュニケーション)」
このほか、4CのうちCのひとつは「Customer Value(顧客にとっての価値)」ではなく、「Customer Solution(顧客の課題の解決)」だという考え方もあります。
マーケティングにおいて4Cに注目すると、顧客が抱える問題や課題を解決し、利便性を高めて価値あるものを提供するためにどうしたらよいのかを探りやすく、問題解決のヒントを見つけやすくなります。
4P分析のフレームワークとは
4P分析は、アメリカのマーケティング学者・ジェローム・マッカシーが、1960年に「ベーシック・マーケティング」という書籍で提唱した考え方で、企業側から見たマーケティングのフレームワークです。
「Product(製品)」
「Price(価格)」
「Place(流通)」
「Promotion(プロモーション)」
非常にシンプルでわかりやすいため広く浸透したフレームワークで、それまで企業が抱えていたさまざまな問題を4つに集約することで、全体を把握し戦略を立てやすくなったと高く評価されています。
マーケティングにおいて4Pは、市場での自社の強みや弱みを把握してどのようなポジションを目指すかを決定する助けとなります。
そしてどんな製品をどの価格で、どういう経路で、どのようなターゲット、市場に届けるのかを検討する際においても、4P分析を知っているとシンプルかつ漏れなく戦略を立てることができるのです。
4C分析と4P分析の組み合わせでマーケティング
4C分析と4P分析は対になっています。
「Product(製品)」⇔「Customer Value(顧客にとっての価値)」
「Price(価格)」⇔「Cost to the Customer(顧客の負担)」
「Place(流通)」⇔「Convenience(顧客にとっての購買利便性)」
「Promotion(プロモーション)」⇔「Communication(顧客へのコミュニケーション)」
企業として実際に使うのは4P分析なのですが、顧客目線(4C分析)で考えることで新たな気づきが得られ、より効果的な戦略を立てられる可能性が高くなります。
現代のマーケティングでは、価値主導で顧客ファーストの視点が重要視されています。4C分析は、現代社会でマーケティングを行うのに最適なフレームワークだと言えるのです。
4C と4Pの活用事例をご紹介
4C と4Pを効果的に活用したマーケティングの事例を、世界最大級のオークションサイトとして知られる「eBay(イーベイ)」を参考に見てみましょう。
オンラインで買い物ができるeBayの初期のターゲットは、多忙なビジネスマンで、時間節約のためにネットでの買い物を好む人でした。
まず、「Product(Customer Value)」の側面から、eBayは品ぞろえを豊富にしてあらゆるジャンルの商品をオンラインで購入できるようにしました。競合のamazonは当時書籍中心の品ぞろえだったため、ここで差別化を図ることに成功します。
次に、「Price(Customer Cost)」の側面から、バイヤーが値引き交渉できるシステム、適正な価格を提示できるシステムを導入し、他のECサイトへ「価格」という面からユーザーが流れないように工夫しました。パソコンがあれば出店できるというように、出店にかかるコストも軽減しています。
「Place(Convenience)」の面から見ると、オンラインなので顧客は自分の好きな時間にいつでも、どこにいても買い物ができます。
また、オンライン決済サービスの「PayPal(ペイパル)」を採用したことで決済も簡略化されました。eBayはSEO対策にも力を入れているため、ユーザーが欲しいものを検索したとき、eBayが上位に表示されます。ユーザーは簡単にほしいものを購入するためのeBayの商品ページにたどりつけるのです。
「Promotion(Communication)」の面からは、ユーザーがお互いに助け合えるコミュニティーサイトを作り、疑問が簡単に解決されるようになっています。
eBayに関してユーザーが疑問を検索すると、Googleでは1ページ目にその疑問に関するコミュニティーサイトが表示されるため、ユーザーは容易に問題を解決できます。また、リテーラー(売る側)とバイヤー(買う側)向けのブログを充実させ、売り方のコツを伝えたり、成功したユーザーの例を紹介したりしています。
ターゲットを設定することが大切
4Pと4Cのフレームワークを組み合わせることで戦略の成功度を高め、漏れなくビジネスを展開していけます。
現在のマーケティングがうまくいっていないと感じたら、4Pと4Cを見直してみると、意外な解決策や原因が見えてくるかもしれません。
ひとつ注意したいのは、4Pと4Cには具体的なターゲット設定が必要で、自社をどの位置に置いて戦略を立てるのかを具体的にしなければ、効果が見込めないという点です。
ターゲットを明確にすることで、価格やプロモーション方法が変わります。まずはターゲットを細かく設定するところからスタートしましょう。
この記事の執筆者

久田敦史
株式会社ナレッジソサエティ 代表取締役
バーチャルオフィス・シェアオフィスを通して1人でも多くの方が起業・独立という夢を実現し、成功させるためのさまざまな支援をしていきたいと考えています。企業を経営していくことはつらい面もありますが、その先にある充実感は自分自身が経営をしていて実感します。その充実感を1人でも多くの方に味わっていただきたいと考えています。
2013年にジョインしたナレッジソサエティでは3年で通期の黒字化を達成。社内制度では週休4日制の正社員制度を導入するなどの常識にとらわれない経営を目指しています。一児のパパ。趣味は100キロウォーキングと下町の酒場めぐり。
【学歴】
筑波大学中退
ゴールデンゲート大学大学院卒業(Master of Accountancy)
【メディア掲載・セミナー登壇事例】
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