
いずれは起業して独立したいと考えている方は多いでしょう。起業後に自社の事業の優位性をアピールするためには、資格を取得することが有効だと言われています。
とはいえ、「資格」と一口に言っても、様々な種類の資格が存在します。起業や独立にあたって役立つ資格には、どのようなものがあるのでしょうか。ここでは、起業や独立に役立つ資格や、その資格を取得するメリットを解説します。
目次
1.起業前に資格を取得するメリットとは?
起業を考えている人の中には、「資格取得は起業後でも問題ないのでは?」と思う人もいるでしょう。しかし、起業後ではなく、「起業前」に資格を取ることに意義があります。
起業前に資格を取得するメリットは、下記が挙げられます。
- 特定分野の知識や専門性を客観的に証明し、市場価値を高めることで、起業後から有利にビジネスを展開できる
- 起業するビジネスが未経験の場合でも、資格取得のために勉強することで、基礎知識を習得できる
- 起業したビジネスの専門資格を有することで相手から信頼感を得られ、説得力が高まる
市場価値を高める効果や信頼度の高さは、資格取得の難易度によって変わります。士業のような難易度の高い資格であれば効果はありますが、誰でも短期間で簡単に取得できる資格や、知名度があまりに低い資格では、起業前に資格を取るメリットを得られないでしょう。
そのため、独立予定の業種で役立つ資格を事前に調べることで、有利に起業を進めることができます。特に、免許がないと従事できない業種で起業する場合は、資格取得が必須のため、早めに準備しましょう。
2.起業・独立に役立つと人気の資格7選
ここでは、実際に起業・独立する際に持っていると役立つ資格を紹介します。
起業して経営者になる場合、経営に関する知識は必須です。また、起業に成功している人の多くは、複数の資格を取得しています。合格率の低い資格もありますが、その分起業後に得られる信頼性は絶大です。起業を考えているビジネスに有利な資格を取得しましょう。
2-1.①ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルプランナーは、保険・年金・不動産・投資・税金などの面から、顧客の資産運用や生活設計のプランニングを行う仕事です。
資格を取得すると、経営上の様々なお金の問題を解決するための基礎知識が身につきます。
【ファイナンシャルプランナーが人気の理由】
- 保険や年金に関するプランニング力やリスクマネジメント力が身につく
- 金融や不動産、税金、保険に関する実用的な知識や資産運用力を得られる
- 経営における財務や税務で知識を活かすことができる
2-2.②日商簿記検定
日商簿記検定を取得すれば、会社経営における日々のお金の流れを記帳し、整理することで、経営成績と財政状況を明確にすることができます。また、資金繰りの状況についても正しく理解できるようになります。
【日商簿記検定が人気の理由】
- 経営で重要なお金の流れについて理解できるようになる
- 3級は比較的簡単に取得でき、経理の基礎を身につけられる
- 2級は難易度が上がるが、取得すれば確定申告を自分で行える知識がつく
2-3.③ビジネス実務法務検定
民法・会社法・労働法などを中心に、ビジネスに関わる法律の知識を習得できる検定です。ビジネスにおける業務上のリスク回避や、法的な問題解決が可能になります。
【ビジネス実務法務検定が人気の理由】
- 経営者として知るべき最低限の法律知識が学べる
- 専門家に相談する際、法律の知識をもとに自社の方針を説明できる
2-4.④中小企業診断士
中小企業診断士は、中小企業の経営状態を診断・分析し、それに基づいて助言する経営コンサルタントの国家資格です。経営に関する多岐にわたる知識を身につけられます。
【中小企業診断士が人気の理由】
- 経済学・財務会計・人事・マーケティングなど、経営に必要な基礎知識を学べる
- 自社を客観的に分析することで、あらゆる面で適切な経営判断ができる
2-5.⑤行政書士
行政書士は、官公庁に提出する書類の作成を代行できる専門家です。よく似た資格に司法書士がありますが、登記を除く会社設立や経営に関する書類の作成は、行政書士が行います。
【行政書士が人気の理由】
- 憲法・行政法・民法・商法など、法律に関する知識を学べる
- 起業に必要な許認可申請書類や様々な公的書類を自分で作成できる
2-6.⑥税理士
税理士は、税務全般に関するスペシャリストです。会計帳簿から財務諸表、税法まで、税に関する幅広い知識を持ち、会社経営における重要な役割を果たします。
【税理士が人気の理由】
- 独立・開業の際に税務関係の書類を自分で処理できる
- 税額の計算や税法上の処理に対応できる
2-7.⑦社会保険労務士
社会保険労務士は、人材に特化した資格で、雇用や労働、社会保障制度に関するエキスパートです。行政機関に提出する社会保険関係の書類作成や、人事・労務管理のコンサルティング、年金に関する相談に対応することができます。
【社会保険労務士が人気の理由】
- 労務管理や社会保障に関する知識が得られる
- 起業して人を雇用する際に、適切な人材管理を行えるスキルが身につく
3.目指す業界別!起業・独立時におすすめの資格
起業・独立を考えている業界によって、取得すべき資格が異なります。つまり、業界に特化した資格があれば、よりスムーズにビジネスを展開できる可能性が高まります。
ここでは起業する業界別に役立つ資格を紹介するため、該当する場合は資格の取得を検討してみてください。
3-1.【IT系】ITパスポート・基本情報技術者
フリーランスのエンジニアとして個人で独立したり、アプリやWebサービスの開発などで法人を立ち上げたりする際は、IT系の資格があると役立ちます。
IT系の代表的な資格が、ITパスポートと基本情報技術者です。資格がなくても仕事の受注は可能ですが、技術や専門知識があることを客観的に証明できるため、より多くのビジネスチャンスに繋がります。ビジネス上、持っていると便利な資格のひとつです。
3-2.【不動産系】宅地建物取引士・不動産鑑定士
宅地建物取引士は、不動産取引の専門家です。不動産の売買や賃貸に関する契約を行うことを国から唯一許されています。宅地建物取引士を取得すると、不動産取引全般の専門知識や、不動産法・民法・宅建業法などの法的知識を身につけることができます。
不動産鑑定士は、土地の評価や不動産の活用提案などが主な仕事です。不動産の専門家として需要が高いため、起業後は多くの仕事が舞い込む可能性があります。
3-3.【美容系】JNAジェルネイル技能検定・日本エステティック協会の認定資格
美容業界で起業を目指す場合は、短期間の研修や受講で習得できる民間資格の取得がおすすめです。
JNAジェルネイル技能検定は、ネイルに関する資格で、初級・中級・上級があります。ネイル技術の証明となるため、資格取得後に起業する方は少なくありません。
エステの場合、日本エステティック協会の資格認定制度を利用できます。日本エステティック協会には、エステティシャンの段階に沿った認定資格や、医療・福祉の現場で施術するための認定資格を制定しています。
起業・独立予定のビジネスに関わる資格を取得することは、決して無駄になりません。資格取得に向けて勉強することは、起業後に必要となる知識やスキルの習得に繋がります。
自身に必要な知識やスキルを考えて、起業後に役立つ資格を取得しましょう。
まとめ
起業する際は、業界に特化した資格だけでなく、会計や財務、さらに法律など、実際の経営に役立つ資格を取得していると非常に便利です。また業界によっては、資格を取ることで安定した仕事を得られる強い資格があります。
資格取得に向けて勉強する中で、経営に必要な知識を習得できる場合もあります。ただし、やみくもに資格を取るのではなく、本当に必要な資格を見極めなければなりません。起業・独立のために資格取得を考えている方は、ぜひ当記事を参考にしてください。
この記事の執筆者

久田敦史
株式会社ナレッジソサエティ 代表取締役
バーチャルオフィス・シェアオフィスを通して1人でも多くの方が起業・独立という夢を実現し、成功させるためのさまざまな支援をしていきたいと考えています。企業を経営していくことはつらい面もありますが、その先にある充実感は自分自身が経営をしていて実感します。その充実感を1人でも多くの方に味わっていただきたいと考えています。
2013年にジョインしたナレッジソサエティでは3年で通期の黒字化を達成。社内制度では週休4日制の正社員制度を導入するなどの常識にとらわれない経営を目指しています。一児のパパ。趣味は100キロウォーキングと下町の酒場めぐり。
【学歴】
筑波大学中退
ゴールデンゲート大学大学院卒業(Master of Accountancy)
【メディア掲載・セミナー登壇事例】
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