
アプリ開発はスキルさえあれば起業しやすいと言われていますが、「自分には独創的なアイデアがないから」と起業を諦めてしまう人も多いようです。しかし、アプリ開発で起業するためには独創的なアイデアよりも大切なことがあります。今回はアプリ開発で成功するために必要なことお伝えできればと思います。
アプリの市場規模は今後も拡大する
新型コロナウイルス感染拡大の影響でモバイルアプリの市場規模は急拡大する一方で、開発に関わるエンジニア不足が指摘されています。企業内部にこうした人材がいない場合、外注に頼る企業が今後も増加することが想定されます。
新型コロナの影響でモバイルアプリの市場規模は急拡大している
新型コロナの影響があり、2020年からモバイルアプリ市場は急速に拡大しています。モバイルデータを分析するアメリカの調査会社、アップアニー社によれば、2020年のモバイルアプリ市場は2年から3年分に相当する成長を達成したといいます。
アップアニー社のレポートを見てみると、2020年の全世界での新規アプリダウンロード数は前年比7%増となる約2,180億件、アプリストアでの消費支出額は前年比で20%増となる約1,430億ドルで、いずれも過去最高を記録しています。また、このうち日本は、新規のアプリダウンロード数が約26億件、消費支出額は約200億ドルとなっています。
今後もアプリ開発を外注する企業が増加する
アプリ市場の拡大は、新型コロナの影響があった2020年に限らず、今後も続くと思われます。理由としては、スマートフォンがすべての世代に普及したこと。それに伴い、パソコンを利用していた層がスマホアプリを使うようになってきていることなどがあげられます。
また、企業側にしてみれば、スマホアプリにはプッシュ通知機能もあり、商品やサービスの情報を顧客へ確実に届けやすいツールといえます。そのため、自社アプリの開発に取り組む企業は、今後ますます増えることが予想されます。
しかし、社内にエンジニアがいて、社内でアプリ開発ができる企業は多くありません。社内で開発できなければ外注することになりますので、アプリ開発を外注する企業は、増加していくと考えられます。
アプリ開発で起業すること自体は簡単
アプリ開発は資格や認可が必要なわけではないので起業すること自体は簡単です。独創的なアイデアがなく諦めてしまう人も多いと聞きますが、実際は独創性よりも大切なことがあると考えられています。
スキルがあれば低コストで開業できる
アプリ開発で起業するのは、それほど難しいことではありません。パソコンとスマートフォンがあれば、アプリの開発はできます。また、オフィスを借りたり、店舗を構えたりする必要もないので、経費を抑えるのであれば、自宅をオフィスとすればよいでしょう。そのため、アプリ開発のスキルがあれば、低コストで開業することが可能なのです。
企業に勤めている方にとっては、起業というと、とてもハードルが高いイメージがあるかもしれませんが、アプリ開発のスキルさえあれば、起業すること自体は、実は簡単なのです。また、アプリ開発の需要は今後も増加していくことが見込まれていますので、アプリ開発は事業としても可能性があるといえるでしょう。
独創的なアイデアよりもアイデアに固執しない柔軟性が求められる
アプリ開発で簡単に起業ができるといっても、独創的なアイデアを考えるのが苦手なので、自分には起業は向いていないとあきらめている方もいるのではないでしょうか。しかし、企業からアプリ開発を受注するのであれば、求められているのは、独創的なアイデアよりも、むしろアイデアに固執しない柔軟性です。
依頼者である企業の要望に応えて、イメージ通りのアプリを開発できるスキルに加え、依頼者とやり取りするなかで生まれる依頼者の新たな要望に対して、柔軟に対応できる能力の方が重宝されるものです。
マネタイズプランをしっかり立てられるかが成功の鍵
企業からアプリ開発を受注するにせよ、独自アプリを開発してリリースするにせよ、アプリ開発はマネタイズプランが鍵になります。どんなに使いやすいアプリを開発したとしても、収益化できなければ、事業としては成り立ちません。
どのようにマネタイズするのがよいかは、アプリの分野によっても変わってきます。アプリ開発で成功するためには、事前にリサーチをして、マネタイズプランをしっかりと立てることが重要です。
アプリ開発で成功する人の特徴はこの3つ
独創的なアイデアがなくてもアプリ開発で起業して成功することは可能です。ここでは、アプリ開発で成功する人の特徴を具体的に見ていきたいと思います。
自分のアイデアよりもユーザーのニーズを優先する
自分自身の独創的なアイデアではなく、ユーザーのニーズを何よりも優先し、ユーザーが求めているサービスにふさわしいアプリを提供しています。
あなたの考えたアイデアが、たとえどんなによいものであったとしても、ユーザーが求めているものと合致していなければ、あなたが開発したアプリはユーザーが増えずに、サービスを継続するのは難しいでしょう。逆に、市場を調査して、ユーザーのニーズをくみ取り、ユーザーのニーズに合致したアプリが開発できれば、ユーザー増を見込めるものです。
PDCAサイクルを速く回す
成功する人は、アプリのリリース後も高速でPDCAサイクルを回しています。
アプリ開発はリリースをして終了ではありません。一度つかんだユーザーを手放さず、ユーザーを増やしていくためには、常にアプリを進化させていかなければなりません。
リリース後でなければ見えないユーザーのニーズや反応もありますので、アプリのリリース後は徹底したユーザー分析を行います。そして、ユーザーのニーズにあわせて、高速でPDCAサイクルを回していくことが、アプリ開発の成功には欠かせません。
重大なバグを未然に防ぐ
アプリを開発していれば、バグは必ず発生します。しかしながら、アプリ開発で成功する人は、重大なバグを未然に防いでいます。
バグのなかには修正可能なものと、取り返しのつかない重大なバグがあります。たとえば、決済関連のバグを起こしてしまい、ユーザーの決済情報や個人情報が漏洩してしまうと、もう取り返しがつきません。
アプリのリリース前には、開発者以外の人がチェックをしたり、システムテストを行ったりするなど、極力バグを減らし、特に重大なバグの発生は未然に防ぎましょう。
マネタイズプランを立てられる人がアプリ開発で成功する
アプリ開発で成功する人の特徴として、「自分のアイデアよりもユーザーのニーズを優先する」、「PDCAサイクルを速く回す」、「重大なバグを未然に防ぐ」ということを挙げましたが、しっかりとしたマネタイズプランを立てるということも成功する鍵の一つになります。
広告によるマネタイズ
アプリ内に広告を表示させることで収益化します。広告によってマネタイズする最大のメリットは、アプリのユーザーに課金しなくてもマネタイズが可能なことです。無料アプリであれば、ユーザーは気軽にアプリを利用できます。
バナーによる広告や全画面に表示する広告など、広告にも種類がありますので、広告を表示させるアプリにふさわしい種類の広告を選ぶことが大切です。また、広告の表示によってユーザーにストレスを与えてしまうようでは、ユーザーが離れていってしまいますので、注意しましょう。
フリーミアムによるマネタイズ
フリーミアムとは、フリー(無料)とプレミアム(割増金)からなる言葉です。文字通り、無料で使える領域と有料の領域を作って、マネタイズします。
基本サービスを無料で提供するので、ユーザーは無料でアプリを体験でき、アプリのクオリティが確認できるので、課金へのハードルが低いといえるでしょう。しかしながら、無料領域と有料領域のバランスが難しく、慎重に検討しなければなりません。
無料領域が小さければ、アプリがなかなか普及しませんし、有料領域が小さく、有料サービスを使ってもらえなければ、収益を得ることはできません。
アプリ内課金によるマネタイズ
アプリ内でアイテムを販売することで、収益化する方法です。アプリの追加機能やスタンプの販売、ゲームの有料アイテムなどが、このモデルにあてはまります。
アプリ内課金では、課金を促すための仕組み作りと、それを実装するのが難しいポイントとなるでしょう。効果的な仕組み作りには、ユーザーがどのような機能に価値を感じているのかなど、ユーザー分析も重要になってきます。また、継続的に収益を上げるためには、ユーザーを飽きさせないために、販売するアイテムを常に更新することも必要です。
有料販売によるマネタイズ
App StoreやGoogle Playなどで、アプリを有料で販売して収益化する方法です。ユーザーから見れば、アプリのダウンロード時に支払いを済ませて、その後は費用がかからずにアプリを利用できます。
有料でアプリを販売すると、ダウンロードと同時に収益が得られるので、価格に見合った価値をユーザーに提供できるアプリであれば、効率的に収益を上げることができます。
その一方で、買い切りタイプのアプリとなるので、ダウンロード後には課金ができず、継続的なマネタイズには向いていません。
サブスクによるマネタイズ
サブスクとは、サブスクリプションの略で、月額料金や年額料金などを支払うことによって、サービスを一定期間利用できるビジネス形態です。最近では、動画見放題、音楽聴き放題、電子書籍読み放題などで、よく目にします。
サブスクによってアプリをマネタイズするメリットは、継続的な収入を見込めることでしょう。1回ごとの支払いは、有料販売よりも安価な設定となるので、ユーザーにとっては負担が少なく、不要であればすぐに解約できるという安心感もあります。
スポンサーシップによるマネタイズ
企業とスポンサーシップ契約を結ぶことで、新たに開発するアプリの開発費を企業に支援してもらう方法です。アプリの想定されるユーザー層をターゲットとしている企業とスポンサーシップ契約を結びます。
スポンサーシップ契約を結んだ企業は、企業の名前をアプリ上に掲載したり、アプリのユーザーに商品を提供したりできるため、企業がターゲットとしている消費者に効率的にアクセスができるようになります。アプリユーザーにとっても、一般の広告に比べて、興味のある情報が入手できるので、双方にとってメリットがあるといえるでしょう。
アプリ開発の成功例からヒントを得よう!
アプリ開発で成功するためには、成功した先行事例からヒントを得ることも大切です。
家計簿アプリ「Zaim」は生活に根ざしている点が成功の要因
家計簿アプリ「Zaim」は、900万件のダウンロード数を誇る大人気のアプリです。お金という誰にとっても身近な問題をテーマにした生活に根ざしているアプリであることが成功の要因といえるでしょう。
レシートの写真を撮ると自動で家計簿に読み込んでくれたり、銀行口座やクレジットカードと連携させることで入出金明細を自動で家計簿に反映してくれたりするなど、ユーザーは少ない負担で家計簿を続けることができます。
曲認識アプリ「Shazam」は純粋なニーズに応えた点が成功の要因
Shazamは、2002年にイギリスで始まったサービスです。当初は、携帯電話でダイヤルして音楽を認識させてから電話を切ると、曲名とアーティスト名がテキストメッセージで送信されてきました。現在では、音楽だけでなく、テレビ番組や広告までも検索できるアプリになっています。
いま聞こえている音楽が気になる音楽で、曲名やアーティスト名を知りたいという誰もが経験したことがあるような純粋なニーズに応えた点が、やはりこのアプリの成功の要因でしょう。
カレンダー共有アプリ「TimeTree」は共有という機能が成功の要因
3,000万人以上の登録ユーザーに利用されているカレンダー共有アプリです。日本語だけではなく、英語、中国語(繁体字・簡体字)、韓国語、ドイツ語、フランス語など14言語で利用でき、海外でも多数使われています。
このアプリがリリースされた2015年当時、共有機能の付いたカレンダーアプリはすでにありましたが、共有という機能の使いやすさを追求してアプリを開発したのが成功の要因でしょう。仕事用と家族用など複数のカレンダーを持つことができるのが、このアプリの特徴のひとつです。
駐車場運営アプリ「akippa」の原点は困りごとの解決
akippaは駐車場シェアリングサービスのアプリです。個人宅駐車場や契約のない月極駐車場、空き地や休業日に空いている店舗駐車場など、全国の44,000以上の駐車スペースが登録されていて、アプリを使って15分単位で予約できます。
このアプリを開発するきっかけとなったのが、都心部で駐車場を探すのが大変という困りごとです。この困りごとを解決するためにアプリの開発が始まりました。現在では210万人の会員が利用しており、人気の駐車場シェアリングサービスになっています。
その他海外のアプリからも成功のヒントを得よう
その他、アプリを開発する際は、海外のアプリも積極的にリサーチをして、成功のヒントを得るとよいでしょう。海外で注目されているビジネストレンドや、日本ではまだ見かけないような斬新なデザインに出会うことができ、新しいアプリ開発のアイデアが生まれるものです。
また、世界で利用され得るアプリを開発することができれば、多言語化をして、ダウンロード数を伸ばすことができるかもしれません。アプリを多言語化するかどうかは、アプリの内容にもよりますが、いずれにしても、海外のアプリもリサーチはするべきでしょう。
アプリ販売で壁となる住所公開をどうするか?
開発したアプリを個人で販売する場合、住所を公開する必要があるケースもあります。ここでは自宅住所を公開するデメリットと、バーチャルオフィスと契約するという選択肢を紹介したいと思います。
Google Playストアでは住所を公開する必要がある
個人でアプリを開発した場合、AndroidアプリであればGoogle Play、iOSアプリであればApp Storeを使って、アプリを販売することでしょう。その際、Google Playでは、消費者保護法を遵守する目的で、開発者の住所を設定しなければなりません。設定した住所は、Google Play内に表示されます。一方のApp Storeでは、開発者の住所は公開されません。
自宅住所を公開する2つのデメリット
アプリ開発で起業する場合、オフィスを借りたり、店舗を構えたりする必要はありませんが、Google Playに自宅住所を公開するとなるとデメリットが伴います。
まず、プライバシーが確保できなくなってしまいます。一人暮らしであればまだしも、同居している家族がいるとなると、家族のプライバシーを配慮しなければなりません。
また、Googleマップなどで住所を調べれば、どのような建物の中で開発しているのか、すぐに分かってしまいます。それが自宅では事業に対する本気度を感じ取ってもらえません。
バーチャルオフィスを契約するという選択肢
オフィスを借りる必要はないけれど、自宅住所を使って事業を展開することに問題を感じているときは、ビジネス用の住所をレンタルできるバーチャルオフィスを契約するという選択肢があります。
バーチャルオフィスはビジネス用の住所をレンタルするサービスになりますので、賃貸オフィスなどを借りる場合と比較して費用は格安です。また、バーチャルオフィスの住所に送られてくる郵便物を転送してくれるサービスもあり、法人登記をすることが可能なオフィスもあります。賃貸マンション等では法人登記で住所を利用できないことが多いですので、将来的な法人化(法人成り)を見据えて個人事業主のうちにバーチャルオフィスを契約してしまうことも検討すると良いでしょう。
この記事の執筆者

ナレッジソサエティ編集部
ナレッジソサエティ編集部
2010年設立の東京都千代田区九段南にある起業家向けバーチャルオフィス「ナレッジソサエティ」です。2010年からバーチャルオフィス・シェアオフィス・レンタルオフィスの専業業者として運営を行っております。バーチャルオフィスのこと、起業家に役立つ情報を配信しています。「こういう情報が知りたい」といったリクエストがあれば編集部までご連絡ください。
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