地方で起業をするメリット・デメリット|おすすめの産業も解説!

2020年01月05日
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自分の手で新しい会社を立ち上げる決意をした際、「どこで起業するか」の選択は非常に重要です。地域によって物件の費用や人件費、市場規模といった経営条件が異なるため、起業する地方と産業の相性を考えて選ばなければなりません。

この記事では、地方における起業の実状を踏まえて、「地方で起業することのメリット・デメリット」について解説します。さらに、地方で起業する際のおすすめ産業・業種についても紹介するため、地方での起業を検討している人はぜひご覧ください。

目次

1.地方での起業の現状は?

新しく会社を設立し事業を起こす際には、東京都や大阪府、神奈川県といった都市部で起業した方が有利であると考える人が多いでしょう。しかし、都道府県別の開業率を見ると、必ずしも都市部がトップではありません。

下記グラフは、第一生命経済研究所が発表した都道府県別の開業率を示したものです。

グラフを見て分かる通り、東京都や神奈川県といった首都圏や大阪府、愛知県といった三大都市圏を抑えて、沖縄県が開業率トップとなっています。
沖縄県以外の地方も一定の開業率を示しており、首都圏の一極集中状態とはなっていないことが、都道府県別に見た開業率の特徴です。

引用:第一生命経済研究所「第一生命経済研レポート」

地方での開業率が高い理由は、起業家に対する国や自治体の支援が手厚いためです。現在、地方の産業振興を目的とした地方創生政策の一環として、起業家への支援に力が入れられています。具体的には、産業振興公社による「創業者支援資金の貸付」などの支援制度です。

一方で、地方での起業を取り巻いている状況は、明るいニュースばかりではありません。地方経済は、「人手不足」「既存企業の減少」といった問題点も抱えています。地方で起業する人は問題点を把握した上で、設立した会社の経営を軌道に乗せなければなりません。

2.地方で起業するメリット

地方での起業は、都市部にはない様々なメリットを活かすことができます。しかし、都市部と比べて人口が少なく経済規模も小さい地方で、本当に事業が成り立つのか疑問に感じている人もいるでしょう。

そこで、ここでは地方で起業する代表的な3つのメリットを紹介し、地方が優れた経営環境であることについて解説します。

2-1.競合他社が少ない

都市部には、1つの産業に対して非常に多くの競合他社が存在します。経済規模が大きいといっても、事業継続できるだけの顧客を獲得することは難しい問題です。しかし、地方は競合他社が少ないという面で、起業に有利といえます。

地方で競合他社が少ない理由は、経済規模が小さく大企業が進出していないためです。地方経済では、中小企業が営業地域のニーズを満たしているケースがほとんどとなっています。
起業したばかりの会社であっても、既存企業の営業地域から外れているエリアを狙ったり、競合他社との差別化を図ったりすることで、顧客を獲得することが可能です。

2-2.コストが抑えられる

地方は物価水準が低いため、会社経営にかかるコストを抑えられる点がメリットです。オフィスや店舗の維持にかかる「物件費」と従業員を雇用するための「人件費」という2つの費用に絞って解説します。

・物件費
都市部と地方部では、物件をレンタルするための賃料に大きな差があります。賃料に大きく影響する地価は都市部ほど高く、逆に地方部ほど低いためです。下記表では、主要都市と地方のオフィス賃料相場を、坪単価で比較しています。

主要都市部
東京23区 約27,000円
横浜市 約15,000円
大阪市 約16,000円
地方都市
釧路市 約7,000円
甲府市 約10,000円
那覇市 約13,000円

主要都市の中では、東京23区の賃料が2万円以上と突出して高く、横浜市と大阪市もかなりの高値です。一方、地方では那覇市がやや高いものの、全体的に1万円あたりが相場となっています。

・人件費
人件費の大部分を占めている従業員への給与額は、都市部と地方部で大きな差があります。下記表は、主な都市部と地方部の最低賃金額を示したものです。

主要都市部
東京都 1,013円
神奈川県 1,011円
大阪府 964円
地方都市
北海道 861円
山梨県 837円
沖縄県 790円

出典:厚生労働省「地域別最低賃金の全国一覧」

主要都市の最低賃金は900~1,000円であるのに対して、地方では700~800円となっています。雇用する従業員の数と労働時間によっては、時給額の差は大きな違いを生み出す金額差です。

2-3.地方特有の優遇制度を利用できる

地方での起業は、地域経済の活性化に貢献するという意味を持ちます。新たな雇用と投資を生み出す起業家に対して、地方自治体は優遇制度を設けていることが多く、創業資金や事業資金を優先的に融資している点が、地方の特徴です。

  • 創業支援補助金制度
  • 移住支援金制度
  • 販路支援制度
  • 課税免除措置制度

上記の他にも、経営者対象の交流セミナーやコンテスト・イベントの開催、専門家による個別相談での経営アドバイスも行われています。日本各地で、地方の特性や課題に応じた支援があるため、起業拠点エリアの優遇制度を確認してみてください。

3.地方で起業するデメリット

地方で起業することには様々なメリットがありますが、逆にデメリットも存在します。地方での起業に魅力を感じている人は、起業を成功させるために、デメリットについても把握することが重要です。

ここでは、地方で起業を行う際に直面しうる課題について、2つ解説します。

3-1.従業員の確保が難しい

地方では、若い労働力が都市部へ流出してしまうことが問題となっています。労働力人口の都市部流出に加えて、人口減少と高齢化による従業員確保の困難さが、地方で起業する際のデメリットです。特に、特殊なスキルや資格を保有する人材が必要な事業では、人材確保がより難しくなります。

従業員確保の対策は、従業員が働きやすい勤務形態で雇用することです。例えば、パートタイムを取り入れることで、定年退職や子育て中などフルタイムで働くことが難しい人々も雇用できます。

特殊なスキル・資格を保有する人を雇用したい場合は、リモートワークやクラウドソーシングの活用を考えましょう。オフィスに出社する必要がない勤務形態であれば、地方でも労働力を確保しやすくなります。

3-2.市場規模が小さい

地方は人口が少ないことにより、市場規模が小さいというデメリットを抱えています。都市部と比較して地域全体の消費額が小さく、事業収益が思うように伸びないことも少なくありません。都市部と同じような事業方針では失敗する可能性があるため、地方では営業エリアに沿った経営戦略を立てることが重要です。

しかし、市場規模が小さい地方は、大手資本が参入していないというメリットを持っています。地域のニーズが少数の中小企業によって満たされている状況は、起業したばかりの会社にとって売上を伸ばすチャンスです。

4.地方で起業する際におすすめの産業は?

地方で起業する際に、メリット・デメリット以外にも考えておきたいことが、「どのような産業で起業するか」という点です。産業の種類によっては、地方のデメリットによる影響が少なく、地域の特色を有効に活かせるケースもあります。

ここでは、地方で起業する際におすすめの産業を2つ紹介するため、現在どのような業種で起業すべきか検討中の人は、ぜひ参考にしてください。

4-1.IT産業

情報通信に関連する事業を扱うIT産業は、会社のあるエリアによる制約を受けにくいという特徴があります。インターネットを介してデータのやり取りを行うため、地域の市場規模に影響されることなく、都市部や海外との取引が可能です。

また、IT産業では従業員の多くが、本社オフィス以外の場所でも仕事ができます。Webディレクターやエンジニア、デザイナーといった職種の業務はオフィス以外のパソコンで行えるため、リモートワークが可能です。
従業員にはITスキルが必須となるものの、リモートワークなどを活用することで、人材確保が行いやすいという魅力がIT産業にはあります。

4-2.地方の特色を活かした産業

日本の各地方には、エリアならではの特産品や資源が存在します。「地方の特色を活かした産業」とは、特産品を製造・販売したり、資源を活用して新たな商品を開発したりするビジネスモデルです。他の地域にはない独特の事業展開ができることにより、思わぬヒット商品の誕生するケースがあります。

多くの自治体は地元特産品を大々的に売り出したいと考えているため、商品開発や販路確保への支援に前向きです。そのため、自治体によっては助成金による手厚い支援が受けられる場合があります。

まとめ

沖縄県を中心に日本の地方部は開業率が高く、起業を志す人にとって都市部にはないメリットが多くあります。地方での起業は、競合他社が少なく、物件費・人件費といったコストを低く抑えることが可能です。地方独自の優遇制度もあるため、起業したばかりの会社も自治体などによる強力なバックアップを受けられます。

確かに、人材確保の難しさや市場規模の小ささは、地方における起業のデメリットです。しかし、起業する産業の種類によってはデメリットの影響を小さくできます。
現在、起業を考えている人は、地域の特色に合ったビジネスモデルで、新しい事業を地方で始めてみてはいかがでしょうか。