
終身雇用制度の終焉が取り沙汰される現代において、自ら独立開業・起業を行い、独自の生計基盤確立を目指す人が増えています。時間に余裕のある主婦や学生だけではなく、会社員までもがネット起業に成功したという話を耳にし、「自分も後に続きたい」といった感情を持つ人も多いでしょう。
この記事では、自由度の高い起業スタイルを希望する人のために、「ネット起業」の基礎知識を紹介します。ネット起業のビジネスモデルやメリット・デメリットを知り、前向きな一歩を踏み出しましょう。
目次
1.ネット起業は誰でもできる?
ネット起業は比較的新しい起業スタイルであるため、定義や代表的なビジネスモデルについて、明確なイメージを持っている人は多くありません。ネット起業の明確なイメージを持っていない人が見切り発車で開業することは、失敗するリスクの高い行為です。
そこでまずは、「ネット起業とは、どのようなものであるのか」について解説します。
1-1.そもそもネット起業とは?
「ネット起業」とは、インターネットを用いて、ビジネスを始めることを意味します。ただし、商品やサービスの販売・決済・アフターサービスの提供といった、あらゆる工程をオンラインで行うビジネスが、ネット起業の対象です。
そのため、「小売店がネットショップを開店する」といった行動は、ネット起業に含みません。対面でのサービスを行うことなく、オンラインで完結するビジネスのみがネット起業に該当します。
1-2.パソコンとネット環境があればネット起業はできる
ネット起業を行うために必要な道具は、「パソコン」と「インターネット環境」です。パソコンを用意し、インターネット通信環境を構築することが可能であれば、どのような人にも稼ぐチャンスがあります。
プログラミングやホームページ制作といった専門的なスキルは、ネット起業を行うための必須要素に該当しません。ITの専門的なスキルが必須ではない理由は、パソコンやインターネットはビジネスを行うための道具に過ぎないためです。
なお、ネット起業に関して「スマホ1台で稼げる」といった考えを持つことは、リスクの高い判断です。スマホやタブレット端末は、パソコンほどの処理能力を持たないため、作業の効率が低下します。ビジネスとして多くの作業をこなすためには、仕事用のパソコンを用意しましょう。
2.ネット起業においておすすめのビジネスモデル
ひと口にネット起業といっても、多種多様なビジネスモデルが存在します。ちなみに、ビジネスモデルとは、売上を立てて収益を上げるための仕組みです。ビジネスを成功させるためには、明確なビジネスモデルを持たなければなりません。
ここでは、ネット起業の代表的な3つのビジネスモデルを取り上げ、稼ぐためのポイントや特徴について解説します。
2-1.ライタービジネス
ライタービジネスとは、ブログライターやセールスコピーライターとして起業し、収入を得る稼ぎ方です。ブログライター・セールスコピーライターの詳細なビジネスモデルは、次の表を参照してください。
ブログライター | 自分のWebサイトにおいて、広告企業の商品やサービスの紹介を行い、売上やクリック数、広告表示回数(アクセス数)に応じた報酬を受け取る。 紹介商品の選定は、A8.netや楽天アフィリエイトといったアフィリエイトサービスプロバイダー(アフィリエイト広告の代理店)を経由して、行うことが一般的。 |
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セールスコピーライター | 資格スクールや化粧品会社、食品メーカーなど、広告主から依頼を受けて、広告文章を作成する。 セールスコピーライターは、1案件あたり10万円など、固定の報酬を得ることが一般的。 知名度の高いセールスコピーライターの中には、1案件あたり100万円を超える報酬を得る人も存在する。 |
2-2.コンテンツビジネス
コンテンツビジネスとは、ビジネスや恋愛、趣味など特定分野に関する教材を作成し、収益を上げるビジネスです。ビジネスモデルの具体例としては、次のような稼ぎ方があります。
- 「人から好かれる会話術」の動画教材を作成し、Udemyなどのオンライン学習プラットフォームで有料配信する
- 自分の恋愛テクニックをまとめた本を電子書籍化して、Amazonや楽天koboなど電子書籍販売サイトに出品する
- 飲食店の経営マニュアルを書類化して、メルカリなどのフリマサイトで販売する
このようなデータ資料の製造・販売を主軸としたコンテンツビジネスには、次のような特徴があるため、自費出版などのビジネスモデルと比べて効率的に稼ぐことが可能です。
- 高額な制作コストが不要である
- データであるため、増刷が容易で在庫を抱えることがない
- 配信コストが安く、利益率が高い
2-3.ネットショップビジネス
ネットショップビジネスとは、インターネット上に自分の店舗を構えて、収益を上げるビジネスです。具体的な開業方法は、2種類のパターンが存在します。
▼インターネット上のショッピングモールに出店する
Amazonや楽天など、大手企業のショッピングモールに店舗を構えて、商品販売を行う。
【メリット】
ショッピングモールの集客力を活用し、収益化までに要する期間の短縮が可能。
【デメリット】
ショッピングモールが規定する手数料が必要である。
▼独自のネットショップを構築し、運営を行う
ネットショップ作成ソフトやシステムを利用し、自分のネットショップを構築する。
【メリット】
出店料や販売手数料が不要である。
【デメリット】
検索エンジン対策や有料広告の出稿、など自己努力による集客を行わなければ、売上の確保が困難である。
3.ネット起業のメリットとデメリット
どのような起業スタイルにも、メリットとデメリットが存在します。メリットとデメリットの両方を正確に把握したうえでネット起業を行うことが、失敗を防ぎ成功に導くコツです。
ここでは、ネット起業のメリット・デメリットについて、それぞれ2点紹介します。
3-1.ネット起業のメリット
ネット起業を行う代表的なメリットは、次の2点です。
- 場所を選ばずに仕事ができる
- 一般的な起業に比べてリスクが小さい
ネット起業は、パソコンとインターネット環境が存在する場所であれば、全ての空間をオフィスと見なせるため、柔軟なライフスタイルで働けます。
そのため、ネット起業は自宅だけではなく、街のカフェやコワーキングスペース(シェアオフィス)など、様々な場所で始めることが可能です。
さらに、ネット起業は一般的な起業スタイルと比較して、金銭的なリスクを抑えた経営が可能です。実店舗を持つ必要がないため、店舗の敷金・礼金や家賃などがかからず、開業資金や運転資金を抑えられるため、負債を抱えるリスクが低い起業スタイルといえます。
また、ライタービジネスやコンテンツビジネスでは、仕入や在庫管理が不要です。自分一人でビジネスを行う場合は、従業員の人件費や外注費用も生じません。
3-2.ネット起業のデメリット
ネット起業の主なデメリットは、次の2点です。
- 参入障壁が低いことによって、成功に対する執着心が希薄化する
- 立ち上げた初期には、お金と時間が必要となる
ネット起業の「リスクを抑えた経営が可能」という特徴は、デメリットにもなりえます。ビジネスの失敗による経済的な損失が少ないことから、成功に対する執着心が希薄化する恐れがある点です。成功に対する執着心が希薄化すると、ビジネスを継続していくことが困難となります。
ネット起業は参入障壁の低いビジネスですが、誰もが平等に成果を上げられるビジネスではありません。大きな成功を収めるためには、成功者のビジネスモデルやノウハウを学ぶなどの継続的な努力が必要です。
また、ネット起業は一般的な起業に比べて金銭的なリスクが少ないものの、立ち上げに伴って、資金と時間が求められます。ネットショップビジネスでは、開業前に商品の仕入が必要です。また、ライタービジネスやコンテンツビジネスでは、成果を上げるまでに継続的な努力を行わなければなりません。
まとめ
ネット起業とは、インターネットを利用したビジネスを始めることです。基本的にネット起業では、業務のほとんどがパソコンとWebを用いたものとなっています。専門的なITのスキルを持っていない人も、パソコンとインターネットが使用できれば、ネット起業が可能です。
副業として始められるネット起業は、自分の好きなことを収入に繋げられる可能性があります。人生の満足度を高めるための方法として、ネット起業への第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。
この記事の執筆者

久田敦史
株式会社ナレッジソサエティ 代表取締役
バーチャルオフィス・シェアオフィスを通して1人でも多くの方が起業・独立という夢を実現し、成功させるためのさまざまな支援をしていきたいと考えています。企業を経営していくことはつらい面もありますが、その先にある充実感は自分自身が経営をしていて実感します。その充実感を1人でも多くの方に味わっていただきたいと考えています。
2013年にジョインしたナレッジソサエティでは3年で通期の黒字化を達成。社内制度では週休4日制の正社員制度を導入するなどの常識にとらわれない経営を目指しています。一児のパパ。趣味は100キロウォーキングと下町の酒場めぐり。
【学歴】
筑波大学中退
ゴールデンゲート大学大学院卒業(Master of Accountancy)
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